オーロラスコアのしくみ
オーロラスコアは、観測スポットごと・1時間ごとに出す0〜100の数値です。自分の目でオーロラを見られる可能性と、どのくらい明るく見えそうかを組み合わせたもので、パーセントではありません。スコアは、すべての観測スポットについて5分ごとに更新しています。
スコアの意味
淡くても確実に見えるオーロラなら、スコアはおよそ60です。スマートフォンのカメラは目に見えるより淡いオーロラまで写すので、スコアが低くても写真にはオーロラが写ることがあります。
- 80〜100、とても良い。オーロラが見える可能性がとても高く、明るいオーロラが期待できます。オーロラを見られる暗さになったら、外に出ましょう。
- 60〜79、良い。淡いかもしれませんが、自分の目でオーロラが見える可能性が高いです。出かける価値があります。
- 40〜59、ふつう。見える可能性は五分五分かそれ以上ですが、たいていは淡いか、雲の切れ間から見える程度です。
- 20〜39、低い。少しは可能性がありますが、たいていは淡い光です。
- 0〜19、とても低い。オーロラが静かか、空が曇っているか明るすぎるため、可能性はほとんどありません。
予報とリアルタイム
空がオーロラを見られる暗さ(太陽が地平線下12°)になるまでは、今夜いちばん良い時間帯のスコアを「予報」として表示します。ただし、リアルタイムのスコアのほうがすでに高ければ、そちらを表示します。暗くなったあとは、リアルタイムのスコアを表示します。
「推定値」は、リアルタイムのオーロラデータか天気予報が届いていないため、スコアの一部が平均値にもとづいていることを示します。データが戻るまで、通知はお休みします。
スコアにはわからないこと
スコアには、あなたの真上の雲の切れ間や、あなたのいる谷にかかる霧、ヘッドランプや近くの家の明かりのようなすぐそばの明かりは見えません。あなたの視力や、目がどれだけ暗さに慣れているかもわかりません。
スコアが見ているもの
- オーロラ活動。NOAAのOVATIONモデルは、太陽風を衛星で測ったデータから、いまオーロラがどこに出ているかを推定します。Kp指数(地球の磁場がどれだけ乱れているかを0〜9で表す目安)が、現在のレベルを補います。この先の時間帯には、NOAAの3日間Kp予報を使います。この予報は高めに出る傾向があるため補正し、最初の数時間は現在のKpを重く見ます。現在の1時間については、スヴァールバル以外で、フィンランド気象研究所(FMI)がキルピスヤルヴィ、マシ、ケヴォに置いている磁力計のデータも使います。磁場が急に変わり始めたときは、オーロラが一気に強まり始めていることがよくあります。
- 雲。MET Norway(ノルウェー気象研究所)による、スポットごと・1時間ごとの雲の予報を使います。いちばん重く見るのは下層の雲です。薄い上層の雲はほとんど何も隠さないので、いちばん軽く見ます。雪やみぞれは、空がほぼ完全に覆われているものとして扱います。雲の切れ間からオーロラが見えることもあり、スコアはそれも考えに入れています。
- 暗さ。そのスポットで太陽が地平線の下にどれだけ沈んでいるかを使います。太陽が地平線下およそ7°に沈むまでスコアは0のままで、そこから空が暗くなるにつれて上がります。太陽が地平線下12°まで沈むと、オーロラを見られる暗さとみなします。地域ページのシーズンの日付と、予報からリアルタイムのスコアへの切り替えは、この時点を基準にしています。
- 月明かり。月がどれだけ満ちているか、どれだけ高く昇っているかを使います。明るい月は淡いオーロラを隠しますが、強いオーロラはほとんど暗くしません。
- 光害。夜の明かりを写した衛星データから、スポットごとに、北の空の地平線から20〜30°の高さにある人工の明かりを測っています。穏やかな夜には、淡いオーロラはたいていそのあたりに現れます。もっと強いオーロラは頭上に出ることが多く、明るいオーロラほど光害の影響を受けにくくなります。スヴァールバルでは、夕方から夜のオーロラはおもに南の空に、極夜の昼ごろのオーロラは頭上や北の空に出るので、空全体で測っています。
スコアは、10シーズン以上の冬にわたる全天カメラの記録をもとに作りました。この冬は新しい夜でスコアを検証し、その結果を公開します。
スコアの作り方と検証のしかた
スコアの作り方
フィンランドのキルピスヤルヴィとソダンキュラ、スウェーデンのアビスコにある全天カメラは、10シーズン以上にわたって冬の夜空を撮影してきました。キルピスヤルヴィのカメラはフィンランド気象研究所が、ほかの2台はオウル大学ソダンキュラ地球物理観測所が運用しています。フィンランド気象研究所は、これらの記録に写ったオーロラの明るさを、カメラごとにその上空全体で平均して公開しました。私たちはこの記録をもとに、オーロラ活動、暗さ、月明かりの組み合わせごとに、どれだけのオーロラが見えるかを割り出しました。
雲については、保存されてきた何年分ものMET Norwayの予報を、トロムソとシーボットン(Skibotn)の全天カメラが818夜に実際に写したものと比べました。これで、たとえば予報で下層の雲が空の半分を覆っているとき、それでもオーロラが見えることがどのくらいあるのかがわかります。
スコアの中では、まずモデルが、その時間に自分の目でオーロラを見られる確率を出します。スコアはそこに、オーロラがどのくらい明るく見えそうかを加えます。方法を確かめるため、私たちはこの確率を検証しました。毎回1つの冬を外してモデルを11回作り直し、外した冬の暗くて月のない時間帯を予測させました。比べる相手は、考えられるいちばん単純な予報、つまり決まった1つの数字です。ほかの冬では、暗くて月のない時間帯のおよそ半分でカメラがオーロラをとらえていたので、この予報はどの時間帯にも「約50%」と出します。確率予報の標準的な物差しである対数損失で測ると、モデルの誤差はこの決まった数字より36%小さくなりました。これらの時間帯全体では、モデルが見込んだオーロラの時間100に対して、カメラが記録したのは93でした。
スヴァールバルは極冠の下にあり、オーロラのふるまいが違います。極夜には真昼に光ることもあります。そのためスヴァールバルのスコアには、現地のカメラの記録をもとにした独自の曲線があります。使った出典はすべてデータ提供元のページ(英語)に載せています。
Kpだけでは足りない理由
北ノルウェーは、オーロラがふだん現れるオーロラ帯(オーロラオーバル)の下にあるので、Kpが1や2でも頭上にオーロラが出ることがあります。見えるかどうかは、Kpよりも雲、暗さ、月明かり、光害で決まることのほうが多く、同じKpでもスポットによってスコアは大きく違います。次は、オーロラ活動をKpだけで表したときの、3つのスポットのスコアです。12月中旬のノルウェー時間22:30、月明かりのない晴れて暗い夜とします。
- トロムソ近郊のフィンヴィクダーレン(Finnvikdalen)は、Kp 1で約24、Kp 3で82、Kp 5で95です。
- 街の光害があるトロムソ市街地(Tromsø sentrum)は、Kp 3で約24、Kp 5で49です。
- さらに南、ボードー近郊のロプスマルカ(Løpsmarka)は、Kp 1で約4、Kp 3で70です。
全天カメラで過去の冬をさかのぼって検証すると、オーロラが見えた時間を見分けられたのは、雲だけを使うと100回中78回、オーロラ活動だけを使うと100回中77回で、ほぼ同じでした。Kpだけを使うと100回中71回でした。両方を考え合わせるモデルでは、100回中89回でした。
ほかの予報との比較
フィンランド、スウェーデン、ノルウェーの全天カメラの地点で、過去の冬をさかのぼって検証しました。入力データは、当時スコアが受け取ったはずの形に作り直しています。そのうえで、モデルをもっと単純なオーロラの予報方法と比べました。それぞれの冬について、その冬を外してモデルと単純な予報をそれぞれ作り直し、その冬を予測させました。以下の比較の多くは、上の検証と同じく、明るさを加味する前の、モデルが出したオーロラが見える確率を使っています。通知の比較は、スコアそのものを使っています。
- どの夜に出かけるか。3台のカメラで記録された、7シーズン分の787夜を使いました。それぞれの方法に、18:00の時点でわかっていたことだけで毎晩を評価させ、評価が高かった夜にカメラがどのくらいの割合でオーロラをとらえたかを数えました。全体では、カメラがオーロラをとらえたのは、およそ4夜に1夜でした。モデルの評価で上位5分の1に入った夜では54%、上位10分の1に入った夜では64%でした。NOAAのKp予報で上位5分の1に入った夜では25%で、全体とほとんど変わりませんでした。KpとMET Norwayの雲の予報にもとづくルールは50%で、モデルにより近い結果でした。2022年春より前の夜については、NOAAが実際に出した予報のアーカイブが見つかりませんでした。そのため、わかっている誤差の傾向をもとに、NOAAの予報を作り直しました。
- Kpだけの予報との比較。モデルを、Kp指数と夜の時刻から出す予報と比べました。1,072夜の晴れた6,716時間で、モデルの誤差(対数損失)は約30%小さくなりました(0.33対0.48)。12シーズンのどの冬でも、モデルの誤差のほうが小さくなりました。この改善のおよそ3分の2は磁力計のリアルタイムの測定値によるもので、残りは、モデルが月明かりと薄明をどう扱うかによるものでした。暗くて月のない時間帯では、モデルの誤差は約24%小さく、その改善の約95%は磁力計によるものでした。磁力計はカメラと同じ場所かその近くにあるので、そこから離れたスポットでは、改善が小さくなるかもしれません。
- Kpが外れるとき。Kpが1以下のとき、カメラがオーロラをとらえたのは11%の時間でした。Kpだけの予報は平均28%、私たちのモデルは21%でした。明るい月が空高くにあるとき、カメラがオーロラをとらえたのは32%の時間でした。Kpだけの予報は50%、私たちのモデルは35%でした。活動が活発なとき(Kp 4以上)、カメラがオーロラをとらえたのは98%の時間でした。Kpだけの予報は86%、私たちのモデルは95%でした。
- Kpと雲の予報を使った予報との比較。オーロラが見えた時間と見えなかった時間を1つずつ取り出すと、モデルは100回中89回、見えた時間のほうを高く評価しました。Kpと同じ雲の予報から作った予報では、100回中83回でした(AUC 0.890対0.825、13,693時間)。雲の予報が保存されている7シーズンのどの冬でも、モデルのほうが上回りました。磁力計のデータを除いても、オーロラが出やすい時間を見分ける点では、モデルのほうが上回りました。ただし、モデルが数字として出す確率は、単純な予報ほど正確ではありませんでした。
- 通知。この比較には、スコアを作るときに使った冬も含まれているため、スコアが実際より良く見えます。トロムソの全天カメラで過去の冬を検証すると、「今夜は好条件」の通知(スコア60以上)は1シーズンに約27回送られました。そのうち10回に9回は、同じ時間かその後2時間以内にカメラにオーロラが写りました。もっと単純なルールは、当たる回数が少なくなりました。「Kp 3以上で、下層と中層の雲が50%未満」は10回に7回、「Kp 4以上」は10回に8回でした。何月か、夜の何時かだけを見る通知は、10回に4回でした。暗く晴れた時間にカメラがオーロラをとらえた夜のうち、3夜に2夜は通知が送られていません。カメラは、人の目に見えるより淡いオーロラまでとらえます。
- 雲。スコアによるMET Norwayの雲の予報の読み方は、予報の全雲量をそのまま使うよりも、晴れている時間をうまく見分けます(AUC 0.803対0.738)。7か所の空港と3か所のカメラ地点の、約15万時間の暗い時間帯で確かめました。差が出るおもな理由は、薄い上層の雲の扱い方です。夜間の観測報告には薄い上層の雲がほとんど記録されないので、この差の一部は、観測報告の作られ方によるものかもしれません。上層の雲が少ない時間帯では、両者の差はわずかでした(0.806対0.797)。
- NOAAのOVATIONモデルとの比較。多くのオーロラアプリは、OVATIONが出す頭上のオーロラの確率を表示しています。この比較は、過去の冬にさかのぼって検証することができませんでした。NOAAはOVATIONの過去の出力を保存しておらず、公開アーカイブには2020年以降のファイルがわずかに残っているだけだからです。この冬の検証では、この比較を1時間ごとに行います。対象は晴れて暗く、月のない時間帯で、比べる相手は、スコアがその時点で読み込んだOVATIONの値です。
冬ごとに作り直していない部分が2つあります。月と薄明の項は同じカメラの記録に合わせて調整し、雲の予報の読み方は、同じ冬の別の2台のカメラの記録に合わせて調整しました。雲の予報の読み方は、冬を1つずつ外して作り直しても、同じ結果になりました。いちばん公平な物差しは、やはりこの冬の検証です。
検証のしかた
2026/27年シーズンが始まる前に検証計画を記録し、誰でも確認できるタイムスタンプを付けました。検証の期間は、2026年10月10日の夜から2027年4月30日の夜までです。この間、モデルのパラメーターは固定し、変えるのは計画があらかじめ認めている修正だけです。予報そのものは、新しいデータが届くたびに更新されます。
検証には、キルピスヤルヴィとアビスコの全天カメラを使います。モデルを作るときに使った3台のうちの2台なので、同じ場所の新しい夜でモデルを確かめることになります。3台目のソダンキュラの較正済みカメラは、2021年に運用を終えました。モデルが出すオーロラが見える確率を、現在の1時間とその後12時間についてのKpだけの予報、そしてKpと雲の予報を使った予報と比べます。NOAA自身のOVATIONの値に、モデルが何を加えているかも確かめます。最後に、この先3夜の予報をもっと単純な予報と、私たちの通知をKpと雲にもとづくルールと比べます。
結果は、良くても悪くても公開します。3月31日までの夜については2027年4月に、残りの期間については2027年5月31日までに報告を出します。計画そのものは4月の報告とあわせて公開します。カメラとの比較は、フィンランド気象研究所がこの冬のカメラのデータを公開してから行います。
公開している数値
モデルのパラメーターは、1つの公開ファイル(バージョン2026-10-02.1)にまとめてあります。アプリと私たちのサーバーが使っているのと同じファイルです。ダウンロード(JSON)して、CC BY 4.0ライセンスのもとで再利用できます。すべての数式と、それぞれの値をどう合わせたかを説明する論文は、2027年4月の報告とあわせて公開します。